
◆会社も地域も巻き込んでやりたいことを全力で!仕事も育児も楽しむ農業ライフ 有限会社かみなか農楽舎 取締役 八代恵里さん
━ 農業を始めたきっかけは?
大学時代は数学の教員を目指していて、農業にはまったく関係のないゼミに所属していました。たまたま子どもたちの自然体験をサポートするボランティアに参加したとき、畑で野菜を取って食べる経験をして、農業に魅力を感じるようになりました。
「農業は大変」「後継者がいない」とマイナスな話も耳にしましたが、まずは自分が経験してみようとインターンシップに参加したり、知り合いの田植えを手伝わせてもらったり、興味のある場所に次々に足を運びました。
その後、さまざまなご縁をつないで出会えたのが「かみなか農楽舎」でした。研修生として門戸をたたき、社員を経て2021年に取締役に就任しました。
▲農薬をできるかぎり控えたお米や新鮮な野菜を栽培。ヤギのウメちゃんが家族のような存在
━ 3人の子育てと仕事をどのように両立してきましたか?
「子どもがいるからできない」というよりは、「子どもがいてもやりたいことをやり続ける」というスタンスで仕事に向きあっていました。
小さい子を抱えて作業をするわたしを見て、集落のおばあちゃんがタンスの奥からおんぶ紐を引っ張り出してあやしてくれたことをよく覚えています。事務所にベビーベットを置いていて、お客さんに子どもを見てもらうこともありました。
今もやりたいことが常にたくさんあって、スキーに行ったり、夜に家族で映画館に行ったり、隙間を見つけてはあれこれと動いています。
地域の行事や役割も楽しみながらやっているので、仕事とプライベートの仕切りはあまり感じません。なんでも全力で楽しんでいます。
▲地域の方々との餅つきは、大切な交流の場のひとつ。大人も子どももみんな一緒に楽しみます。
━ 農業の現場で大切にしていることはなんですか?
農業は単に作物を育てる仕事ではなく、地域とのつながりのなかで成り立つ仕事です。農地や水は代々受け継がれてきたもので、昔からの慣習や文化が根付いています。
最初のころは「女性がトラクターに乗るのか」と驚かれたり、組合の集まりで年上の男性のなかにポツンと座ることになったり、性別や世代のギャップを感じることもありました。
ただ、年代や性別ごとの役割や価値観も地域の人が守ってきた考え方なので、歴史や伝統を重んじつつ、新しい流れを組み込んでいければいいなと考えています。
田植えの準備が終わり、水が張られた田んぼが広がる景色を見ると、毎年「今年もここまで来たな」とホッとする瞬間があります。そうした小さな喜びを積み重ねながら次世代にバトンをつないでいきたいです。
福井県で働く・活動する女性に向けてのメッセージ
やりたいことがあれば、周りを巻き込みながらどんどん挑戦してほしいです。できる限り常識にとらわれず、全力で楽しみながら進んでいきましょう。
<企業情報>
有限会社かみなか農楽舎
福井県三方上中郡若狭町安賀里74-1-1
https://nouson-kaminaka.com/